2006年05月05日

 新緑の頃−後編−

 5月5日金曜日正午過ぎ、私は名古屋方面への名鉄に乗車していた。午前中に行きたかったところがありその帰りだった。ある人にメールを打ち終え、携帯電話から窓の外に視線を移すと、彼女の実家の近くを通っていることに気付いた。私はあまり名鉄を利用していなかったので、事前にわからなかったのだ。彼女のことを思い出し、昔の出来事を思い出した。

 9年前、熊本に向かう旅の起点、名古屋の長距離バスターミナル。ぎりぎりまでどうしても仕事をしておきたかったので、ボランティアが始まる前日の深夜バスに乗って当日早朝に熊本入りすることにしていた。夜遅くに見送りに来てくれた彼女は、和紙の封筒を私に手渡してくれた。
 「これ、お父さんから聞いてまとめておいたよ。バスに乗ってから開けてね。」
 ペットボトルのお茶と一緒にくれた封筒の中身は、ハンドボールの説明の紙だった。おしゃれな彼女にふさわしく、かわいい和紙に筆ペンでわかりやすく記されたハンドのポジションと簡単な説明。最後に書かれた「楽しんできてね」という言葉。
 それは熊本の大会期間中、2つある私のお守りのひとつだった。

 不意に思い出された様々な出来事と、彼女のお父さんのことを思い出して涙がこぼれた。彼女の試合に足を運んでいらしたとき、私を見かけると必ず声をかけてくれた。最後にお会いしたのは数年前だったけれど、お元気そうにしていらした。もう一度お会いしたかったのに・・・。

 窓からの日差しに目がくらっときたかを装って、涙を拭いた。
 外は新緑が眩しくて、大好きな桜の季節はもう過去のもの。確実に季節がめぐっていること、時間は確実に過ぎていくことを忘れるなと、私に伝えているかのようだった。
posted by yuki at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | My Personal Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/23667618
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。